香水とプレタポルテ

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 多くのラグジュアリーブランドが、同じブランド名で香水を出しています。そのビジネス規模は、本業のファッションを上回ることも多いと言われます。しかし香水は、ブランドが香水メーカーにライセンス供与して作っているライセンスビジネスです。さらに、たとえばシャネルのNo.5を着けている人は、シャネルのプレタポルテをぱっと買える人かと言うと、必ずしもそうではありません。
 
 つまり香水はブランドのエントリー商品であり、しかもライセンスビジネスである。このことから、香水とファッションを購入する層が分離し、商品から得られるブランドイメージが混乱することがある。CPP-LUXURYのアレッサンドロ・マリア・フェレーリ氏が伝えています。
 
 今日ラグジュアリーブランドは、香水のライセンスビジネスでの潤沢なロイヤリティ収入で、洋服のコレクションビジネスを財務的に支えていると言っていい。実際トム・フォードやヴィクター&ロルフ、ジャン=ポール・ゴルチエなどのブランドは、フレグランスの売上が、洋服やアクセサリーの売上をはるかに上回っている。このため多くの国で彼らは香水専門のブランドと認知されているほどだ。
 

photo: Sharona Gott ”jean paul gaultier exhibit_001″
 
 市場での認知がそのように、ちぐはぐなことになっていても、香水ビジネスで得られる資金は、ブランド存続のために無くてはならないものとなっている。にもかかわらず、ここ最近は多くの人が、ラグジュアリーブランドの香水から、よりニッチな香水ブランドにシフトするようになっている。その金額は過去3年間で、2億5千万ドルに迫る勢い。こういうアルチザン的香水ブランドは、だいたい自然成分を売りにしており、小さなブティックで販売されている。大々的な広告は行わず、香りがオリジナルであることやアフターサービスの良さを大切にする。
 
 ではブランド向けに香水を生産する香水メーカーのビッグスリー、コティ、ロレアル、エスティローダーは、この先10年にどう備えればよいか。ライセンス所有しているブランドを買収する?(スペインのピュイッグは香水事業存続のためにカロリーナ・ヘレラ、パコ・ラバンヌ、ジャン=ポール・ゴルチエを買収している。) それとも小さなニッチ・メーカーに投資するか(エスティローダーはTHE LABOに出資)。あるいはリスクを最小化するために、できるだけ多くのブランドと提携するか。
 
 これに対しフェレーリ氏は自分が、もし香水メーカー側の人間であれば、ブランドでの経験が豊富で、マーケティング、ブランディング、広告・宣伝に精通したマネージャーを雇い、ブランドと香水メーカーのつなぎ役を務めてもらうだろうと提案。
 
 またもうひとつのポイントとして、今まで乗り越えられなかった香水のオンライン販売の道を切り開くこと。具体的には「お試しキット」を自宅に送るスタートアップの例を挙げています。そして最終的には香りをネットで伝達できるようになれば、劇的な進化が生まれると言います。
 
 香水のような、感覚で感じる商品の場合、テクノロジーと結びつくことで爆発的に飛躍することがあるということですね。事実、専用デバイスを使い、香りをメール添付で送れるものは、すでに開発されているようです(こちら)。 香りをメールに添付したり、SNSに投稿したりする時代は、もう近いかもしれません。そのとき、香水とラグジュアリーの関係は、よりパーソナライズされて、進化していくのでしょう。今からとても楽しみです。
 
 
参考サイト:cpp-luxury
 
 
photo: Sam Amll ”La Collection Privee Christian Dior”
 
※香りとラグジュアリーについての記事:ラグジュアリーにとって香りがますます重要になっている
 
 
 
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