フェラーリとハリー・ウィンストン~一見さんお断りのマル秘イベント~
YOU 2018.12.05
成功者であればほとんどの人が口をそろえて言うことばがある。
「一流の人、一流のものに触れなさい。そうすることで自分自身を高められる。」
今では、近しい経営者から聞くことが多いこのことばも、一番はじめに教えられたのは19歳の頃だった。本田健著『20代にしておきたい17のこと』。この書物は、私の人生の大きな転機となったバイブルである(このお話はまた次回にしておこう)。
19歳の頃といえば、まだ起業をして間もない学生で、もちろんお金も人脈もなかった。だが、トップに登りつめるために、できるだけ早く自分を磨き高めていきたい。この想いだけは当時から、ひとの何倍も何十倍も強かったのを今でも覚えている。
「今できる事は何か。」そう考えた私は、とにかく本から学んだことを参考に、自分の生活にちょっとした工夫を取り入れてみたのである。
当時から大のスポーツ好きだった私は、暇さえあればスポーツ観戦を楽しんだ。試合観戦に訪れたことのある人ならおわかりだろうが、このような試合会場には、いくつものランクに分かれた席が用意されている。その中でも一番高い席(VIP席)。ここには明らかにオーラの違う富裕層たちが多く集まっている。実に分かりやすい。
「少し奮発したらあの席で観られるよな。一流の席で一流の人と観戦しよう。」そう考えた私は資金に余裕があるときは、なるべく良い席で楽しんだ。
同じように、美術館で開催されている展示会、超有名大学の授業にもよく足を運んだ。自分と似た若手企業家が集まる企業コンペに参加し、三年次にはアメリカの有名大学への留学も経験した。とても刺激的な毎日だった。
また、学生には欠かせないアルバイト。もちろんここも一流に触れる絶好のチャンスであった。私が選んだのは様々な業種、年齢層の人たちが集まる、会員制高級クラブのバーテンダーの仕事である。このアルバイトでの経験は、後のビジネスにおいても大きく活かすことができたのは言うまでもない。
このようにして、日常の工夫ひとつで、10代の頃から多くの“一流”に出会うことができたのだが、もし何も意識せず生活していれば、坦々と過ぎていくごく普通の学生生活だったに違いない。それだけは嫌だ。夢も無い、何も考えていない人生に生きる意味はない。私は大人になった今でもこの考えは変わらない。 時間をフルに使って常に考え、策を練る。広くアンテナを張り巡らせ、決して時間を無駄にはしない。 この繰り返しの中で、一流のものや人と出会えるチャンスはどんな環境でも無数に転がっている事を知るのである。
20代も終わりに近づいてきた。そんな私が最近訪れた一流の場所を2つほど紹介しよう。それは、店側から招待された者のみが参加できるレセプションパーティーだ。所謂、一般的には公開されることのない一見さんお断りというやつである。富裕層の方なら誰しも一度は訪れたことがあるのではないだろうか。
ひとつはフェラーリのレセプションパーティーだ。ちなみに、私は無類の車好きである。中でもフェラーリは、私がこの業界に飛び込むきっかけをくれた特別な車だ。レセプションパーティーには、オーナーだけが招待されるものと、ファンの方も交えて参加することの出来るものとがある。だがフェラーリのイベントは、いつ、どのようなイベントに招かれても格別に感じるのである。
私がお世話になっている担当者は「フェラーリを所有し、その車を愛してくれるお客様は全員がファミリーの一員である」といつも話してくれる。どんな高級車のお店でも、顧客をファミリーと呼ぶところはそうはない。私はこのことばを聞くたびに、温かい気持ちになる。きっと売り手と買い手ということを越え、顧客同士が繋がれる機会を非常に大切にしているブランドなのだろう、と感じるからである。
事実、他の高級外国車と比べてみても、フェラーリのイベントは多いように感じる(比べる事は難しい世界だが・・・)。
以前、長野県の、とあるホテルを貸し切りで行われた新作イベントに出かけたことがある。そこは中心街から車で1時間。なかなか遠い。なぜこんな所でやるのだろう・・・。そう不思議に思ったが、答えはすぐに分かった。
その道中は秋の紅葉真っ盛りで、山々が作り出す色彩のコントラストが絶妙であったのだ。すごい、こんな場所があったのか。マイナスイオン全開といった感じだ。都会のごみごみした圧迫感のようなものとは、まったく異なる、開けた大地や綺麗な空がはっきりと目の前に広がっていた。
こんな場所で、大好きな愛車を走らせる。なんて最高な時間なのだろう。きっとこのような時間の使い方も含め、会場を決めたのだろう。緻密に計算されたフェラーリならではのおもてなしであった。
そうして会場に到着すると、新作発表された車両が数台並んでいる。それを横目で見ながら、ガラス越しに隣接するレストランで、フランス料理を堪能した。フェラーリといえばイケイケの男性を想像する方も多いと思うが、ここでは奥さんと共に訪れ、デートのように楽しむ夫婦の姿もよく目にした。
フェラーリのレセプションパーティーには、もうひとつの楽しみがある。それは駐車場に並ぶ、オーナー自慢の“世界に一台のフェラーリ”たちを楽しむことである。もちろんこの場にいるほとんどがフェラーリオーナーだが、その数だけ駐車場には多くの愛車が並んでいる。じっくり眺めていると、やはりその車たちが醸し出す雰囲気には格別のものがある。
1台1台がオリジナル。何十種類の色彩からボディカラーを選択し、シートベルトやステッチなど、ありとあらゆる箇所が数カ月かけて作られていく。さらに、手元に届くまでに2年は掛かるというのだから、この光景は非常に貴重なものである。ビルが建ち並ぶ港区にでもいる時は頻繁に見かけるフェラーリも、これほどまで自然豊かな空間で一斉に見る機会はそうはない。
また、それから数日後に届いたお礼のメッセージカード。QRコードを読み込むと、その日に試乗した映像が流れるという素敵な仕掛けとなっていた。まさに到着前からその後まで、全てが一流を感じる時間であった。
ジュエリーブランドの中で最上級であるハリー・ウィンストン。ここまで書いてきたフェラーリとは、ジャンルこそ違え、双璧をなすハイブランドである。このレセプションパーティーについても少し触れておきたい。
このブランドは、どの店舗を訪れても、澄みきった雰囲気が漂い、こちらが緊張してしまうほどである。さすが女性の憧れ、最高級のジュエリーブランド。店舗内の雰囲気はどのブランドとも一線を画しているのだ。
キラキラの宝石たち。素敵なデザイン。一点一点質の高い商品がディスプレイされている。価格も1点あたり数百万円から億単位のものまで、他ブランドの追随を許さないほど圧倒的である。
今回、そんなハリー・ウィンストンから、ハイジュエリーコレクション”New York Collection Fall Exhibition”にご招待いただいた。
場所は3ヶ所(東京・名古屋・大阪)から選択でき、開催場所もザ・リッツ・カールトン(東京)・マリオットアソシアホテル(名古屋)、インターコンチネンタル(大阪)と一流ホテルばかりだ。
商品を見るだけでなく、ホテルでの宿泊や食事を自費でプラスする事で、新作ジュエリーを誰よりも早く拝見し、ホテルライフも堪能できるとなれば一石二鳥である。フェラーリに引き続き、空間そのものもラグジュアリーな演出がされており、大変有意義な時間であった。
フェラーリとハリー・ウィンストン。ふたつのハイブランドでの体験を書いてきた。だが、私は良いものを身に着けているからといって、一流とは限らないと思っている。本当の富裕層ほど見せびらかさず、質素に暮らし、ひと目では富裕層と分からない人も非常に多い(私は年齢のせいもあり、フリーターに見られることもしばしば・・・)。
しかし、間違いなくこのような一流の場所には訪れているし、人、場所、物、空間、環境など、すべてにおいて、多くの「一流」に日々触れている。またそれをごく自然に取り入れているのだ。だからこそ私もいつかそんな人間になりたいと強く思うのである。